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コラム
妊娠率に関係する
【膣内フローラ】
2022.08.04
最近、これまで「無菌」と考えられていた子宮内にも細菌がいて、子宮内フローラがあるということ、それが妊娠率などにも関連していることが分かってきました。
フローラとは、細菌がお花畑のように集まっている(細菌叢)のことを意味します。
また、膣内には乳酸桿菌(ラクトバチルス属)がいますが、子宮内フローラと膣内フローラは密接な関係にあります。
子宮内フローラは婦人科に行かないと調べることができませんが、膣内フローラは自宅で手軽に検査ができます。
リアライズクリニックでは、膣内フローラ検査キットをご自宅で検査していただき、その結果についてもカウンセリングを行い、おすすめの治療をご紹介しています。
女性のおりものがちょっと酸っぱいニオイなのは、腟内フローラである乳酸桿菌群(ラクトバチルス)が守っているからです。乳酸菌の一種なので、乳酸を出すことで酸っぱいニオイになります。
乳酸桿菌が膣内の分泌に含まれるブドウ糖を分解して乳酸を産生し、腟内は弱酸性に保たれます。腸内と同じで、膣内も弱酸性は、有用菌が生きやすい環境。酸が減り、pHが上がるとカンジダ菌や炎症を起こす細菌が増えてしまいます。
乳酸桿菌の働きは、腟の自浄作用と呼ばれ、膣内を清浄に保ってくれています。
エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンは、膣の細胞に糖であるグリコーゲンをため込む働きをします。膣内の分泌物には、糖が含まれるため、乳酸桿菌のエサである糖の供給源となります。
閉経やストレスなどによって、膣の粘膜が萎縮したり、分泌物が低下してしまうと、乳酸桿菌が増殖できなくなります。
すると、腟内フローラが乱れ、細菌性の膣炎や酵母カビによるカンジダ、さらにはウイルス性のHIV感染や子宮頸癌のリスクも高くなることがわかっています。
膣のトラブルが気になる方は、一度膣内フローラ検査キットで検査をしてみて乳酸桿菌の割合をチェックしてみましょう。
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子宮内はこれまで無菌とされていましたが、2015年、アメリカのラトガース大学の研究で、子宮内にも乳酸桿菌(ラクトバチルス属)がいることが報告されました。
2016年にはアメリカのスタンフォード大学から、子宮内フローラの乱れによって体外受精の成功率が低下することを明らかにしました。
乳酸桿菌が多いほど妊娠率や継続率が高いため、子宮内フローラが不妊と関連していることが分かりました。
受精卵が生着するには、女性側の免疫がそれを異物として排除せずに受け入れる必要があります。乳酸桿菌以外の他の菌の割合が増えると炎症が起こり、免疫が受精卵を異物として攻撃してしまうと考えられています。
日本の女性の子宮内もアメリカと同様に乳酸桿菌が多く、やはり子宮内フローラのバランスが不妊にも関連してると言われています。
健康な人では、子宮と膣内の乳酸桿菌の割合が、子宮内:99.50 %と膣内:99.80 %とほぼ乳酸桿菌で占められています。
一方で、体外受精まで必要な不妊患者では、子宮内:63.90 %と膣内:65.21%と乳酸桿菌の割合が少ないことがわかりました。
※Reprod Med Biol. 2018 May 6;17(3):297-306
さらに、スペインの研究では、子宮内フローラが乱れている人では、妊娠率が33.3%、妊娠継続率が13.3%、生児獲得率が6.7%と実際に赤ちゃんを出産できるに至る人が極めて少ないこともわかりました。
一方で、子宮内フローラが正常であれば、妊娠率が70.6%、妊娠継続率が58.8%、生児獲得率が58.8%と実際に赤ちゃんを出産できる人が半数以上になります。
子宮内フローラと膣内フローラはつながっていますので、膣内フローラ検査をすることで、子宮内フローラの状況が推測できます。
不妊治療中のかたは、一度子宮内フローラ検査を婦人科で受けて頂くことをおすすめします。子宮内フローラ検査は婦人科受診が必要ですが、ハードルが高いという場合は、まずは手軽に自宅で検査できる膣内フローラ検査キットをおすすめします。
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膣内フローラの維持には、女性ホルモンの働きによる膣の粘膜機能の維持が不可欠です。
ストレスによって女性ホルモンの分泌が乱れると膣の潤いが低下し、乳酸桿菌のエサとなる分泌物が低下するため、膣内フローラも乱れます。
ストレスを上手にケアして、日頃から膣の潤いを保つことが大切です。
閉経後には、生理的に膣粘膜の萎縮や分泌の低下が起こり、潤いがなくなっていきます。大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きがあり、働きを補ってくれます。
腸内細菌のうちエクオール産生菌がしっかりと働いているとイソフラボンからエクオールを合成してくれますが、エクオール産生菌がいない人や働きが低下している人は、膣の萎縮も含めて更年期や閉経後の不調が出やすくなります。
腸内環境を整えて、エクオール産生菌を増やすことや、エクオールのサプリメントをとることも膣内フローラ改善につながります。
海外では、膣錠など、膣内に挿入するタイプのプロバイオティクス製品も販売されているものの、日本ではまだ膣錠は一般販売されていません。
そこで、内服することで子宮・膣の粘液の免疫を強化することができる「ラクトフェリン」が注目され、不妊治療を行うクリニックを中心に使用され始めています。
ラクトフェリンは、初乳に含まれる免疫物質です。膣内分泌物を含め、全身の粘膜を守る粘液に含まれ、外部からの細菌の侵入を守っています。
子宮内の乳酸桿菌の割合が正常より低下している不妊女性に、抗生剤投与後、腸溶のラクトフェリン製剤を1日300mg投与し、2ヶ月後に子宮内フローラを検査したところ、全症例において乳酸桿菌の割合が9割以上に回復したという報告もあります。
※Reprod Med Biol. 2018 Oct 25;18(1):72-82.
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