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コラム
女性の薄毛~円形脱毛症、保険治療編
2024.10.03
今回は円形脱毛症の保険でできる治療をもう少し詳しく説明します。
1)ステロイドの塗り薬―一般的な皮膚科では円形脱毛症に対してステロイドの塗り薬(アンテベート®、リンデロン®、デルモベート®など)とフロジン®外用液です。しかし、正直なところあまりきかないと思われます。円形脱毛症は自分の細胞であるリンパ球が自分の髪の毛の根元、毛球部という深いところを攻撃するのですが、塗り薬ではなかなか深いところまで効果が届きにくいためです。
2)ステロイドの注射―脱毛の範囲が広くない軽症の患者さんには脱毛の部位に「ステロイド(ケナコルト®)注射」を複数回注射します。4~6週間間隔で脱毛部に注射すれば、3か月後には発毛が認められます。しかし、注射量には限りがあるため、広い範囲には注射できません。100円玉のような脱毛斑がいくつかある人、さらに頭皮全体の10%程度までの脱毛には対応できます。
3)光線治療―脱毛した部分に光を当てて、異常を起こしたTリンパ球をおさえる治療です。紫外線療法(エキシマレーザー)も効果はありますが、あまり強くありません。紫外線なので回数が多いと発癌性の問題もあります。
4)JAK阻害薬(免疫を抑える薬)=オルミエント(バリシチニブ): 18歳以上で脱毛面積が50%以上、罹病期間が6か月から8年までの成人の重症円形脱毛症患者さん。リットフーロカプセル(リトレシチニブトシル塩酸塩):重症円形脱毛症患者さにはJAK阻害薬が適応となります。炎症反応や免疫反応に関わる蛋白質(サイトカイン)が標的となる細胞に出ている受容体と結合する酵素であるヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する薬剤です。JAK阻害薬を使用する際は皮膚科専門医受診をおすすめします。免疫の機能を下げる働きがあるため、感染症にかかりやすくなりますので注意が必要です。
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